初めて特別支援学級の担任になったとき、いざ成績の時期というときに・・・
ふと、こんな疑問がわきました。

特別支援学級の通知表ってどうなっているんだろう?
通常学級の児童とは、違うのかな?
- 私は、小学校の教員をして13年経験しています。
- 経験した学年は・・・1年生を1回、2年生を5回、4年生を2回、5年生を4回、6年生を1回。
これまでの経験から、通知表を作成することには正直慣れています。
そんな中、今年度初めて、知的障害特別支援学級の担任をすることになりました。
この記事を読んでいる人の中にも、通常学級の担任はしたことがあるけれど、初めて特別支援学級の担任になって、焦っている・・・という人もいるかもしれません。

そこで、今回は、こういった疑問にお答えしたいと思います。
- 通知表とは?
- 通常学級と特別支援学級の通知表の違い
- 知的障害特別支援学級と情緒障害特別支援学級の違い
- 作成前に注意すべき2つのポイント
通知表とは?
そもそも通知表とは・・・
児童生徒の学習状況について保護者に対して伝えるもの。
資料1-2 高等学校における学習評価に関する参考資料(2) (mext.go.jp)
法令上の規定や、様式に関して国として例示したものはない。
○学校教育法施行規則(抄)
【参考4】新指導要領の全面実施と学習評価の改善について (mext.go.jp)
第二十四条
校長は,その学校に在学する児童等の指導要録(学校教育法施行令第三十一条 に規定する
児童等の学習及び健康の状況を記録した書類の原本をいう。以下同じ。)を作成しなければな
らない。
第五十七条
小学校において,各学年の課程の修了又は卒業を認めるに当たつては,児童の平素の成績
を評価して,これを定めなければならない。※中学校,高等学校についても同様に規定。
と示されていて、指導要録を作成することは学校教育法施行規則によって定められていますが、通知表の作成に当たっての法的義務や規定はありません。
各学校裁量で、作成の仕方や形式などを決めることができることになっています。

現に、通知表を廃止した学校もあります。

しかし、大抵の学校では現在でも通知表を渡しているところが多いのではないでしょうか。

通常学級と特別支援学級の通知表の違い
本校では、教育活動自体は3学期制を取り入れているのですが、令和4年度から通知表が前期、後期制になりました。それまでは3学期制だったので、年に3回作成していました。
そして、通常学級の通知表の形式としては、このようになっています。
- 各教科 評価の観点ごとに ・・・ よくできた、できた、もう少しの3段階で評価
- 行動 評価の観点ごとに ・・・ よくできているところに○
- 総合的な学習の時間 ・・・ 所見による評価
- 外国語活動 ・・・ 所見による評価
- 道徳科 ・・・ 所見による評価
- 総合所見 ・・・ 各教科の学習、行動、特別活動等についての所見による評価
いっぽう、特別支援学級の通知表は、2パターンから選ぶことができるようになっています。
- 通常学級と同じ形式 ・・・ 上に示しているもの
- 特別支援学級の形式 ・・・ 各教科の評価を所見による評価にする
どちらの形式で通知表を作成するのかは、保護者が決めます。ですので、必ず保護者のへの確認が必要です。

知的障害特別支援学級と情緒障害特別支援学級の違い
これまでの経験からお伝えすると、知的障害特別支援学級に在籍している児童は、特別支援学級の形式を利用している児童が多いように思います。
一方、自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍している児童の中には、知的な遅れを伴う場合と伴わない場合がありますので、選ばれる形式も子どもによって異なることがあります。
作成前に注意すべき2つのポイント
実際に作成するときには、次の2つのポイントに注意してください。
- 前年度はどの形式で通知表を作成していたのか? → 校務支援システム、前年度担任より
- 保護者は現在、どの形式を希望しているか?
近年では、校務支援システムの導入により、通知表もデータ処理されることが多くなってきました。
そこで、昨年度はどのような形式で作成されていたのかを確認することは簡単にできると思います。
また、形式を確認するときに、昨年度所見等書かれていた内容も合わせて把握しておくと、所見を書く際にも参考になります。
実際、確認をせずに同じような内容を通知表に書いてしまうと、通知表をもらう子どもや保護者側からすると、
「昨年度と同じようなことが書かれている・・・」とがっかりさせてしまうことになり、次への意欲にはつながりにくいです。
「先生は、自分(この子)の良さを理解してくれていないのかな」と不信感を感じさせてしまう可能性さえあります。
前年度の担任にも確認しておくことも必要です。
昨年度の様子や保護者の通知表への思いなどを聞くことができるからです。

さらに、実際に必ず現在の保護者の希望を確認しましょう。児童の発達段階や保護者の思いによっては、変更したいと言われる場合もあります。
それぞれの形式のよさも伝えながら、いっしょに検討するといいですね。