特別支援学級在籍の児童生徒の進学~合理的配慮、中途退学や進路変更~
公立の高等学校へ進学した生徒への支援
先日、特別支援教育に関する研修会に参加し、公立の高等学校の先生から話を聞くことがありました。
現在、私が勤めているところでは、公立の高等学校に通級指導教室は設置されていません。

そのため、公立の高等学校へ進学した生徒は、通常学級に在籍している生徒と同様に受験を行い、学習を行っています。
通級指導教室など、個別に支援できる環境が整っていない中での指導に、高等学校の先生も頭を悩ませているという感じを受けました。

今回の研修会での講話を通して学んだ合理的配慮、具体的な支援方法、中途退学や進路変更の実態などをまとめたいと思います。
個別の支援計画を基にした合理的配慮
高等学校へ進学している生徒の中には、個別の支援計画を作成している生徒もいます。
「個別の教育支援計画」は、障害のある児童生徒の一人一人のニーズを正確に把握し、教育の視点から適切に対応していくという考えの下、長期的な視点で乳幼児期から学校卒業後までを通じて一貫して的確な教育的支援を行うことを目的とする。
文部科学省 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/1361230.htm
対象児童生徒の進学や転学等に際し、計画の作成担当機関が変更となる場合には、引き続き適切な教育が一貫して行われるように、計画に係る責任の明確化の観点から計画の作成、改訂の業務の引継のシステムの構築を図る。
文部科学省 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/054/shiryo/attach/1361230.htm
就学前、小学校、中学校、高等学校・・・と適切に教育が行われるように、きちんと引継ぎを行うことになっているので、個別の支援計画を作成している生徒は、引継ぎが確実になされています。

そこで、高等学校でも生徒の多様な特性を理解しつつ、合理的配慮を行っているようです。
しかし、配慮の必要な生徒の中には、個別の指導計画を作成していない生徒もいるというのも現状で、引継ぎがうまくいっていないということもあります。
具体的な配慮事項
- 職員会で共通理解・・・特性や支援の方法を教職員で確認
- 視覚的支援・・・文字や具体物等を使って、分かりやすく示す
- 明確な指示・・・具体的な表現で伝える(抽象的な表現を控える)
- 座席の配慮
- 板書支援・・・写真を撮って、ノート整理をする
- 個別の学習支援・・・補習など
もちろん、特別支援学校の生徒や特別支援学級在籍時ほどの手厚い支援とはいきませんが
細やかな支援がされていると感じました。
そのおかげもあり、充実した高校生活を送ることができている生徒も多くいるようです。

問題行動や不適応による中途退学や進路変更
とはいえ、高等学校の生活に適応することが難しくなったり、問題行動を起こしてしまったりすることで、中途退学や進路変更をする生徒もいます。
その要因として、不本意な進路選択というものがあるようです。
- 生徒自身の意志で高等学校へ進学したのではない(本人に学習意欲があまりない)
- 保護者の希望に応えなければならない(高校は卒業させたい・・・という保護者の願い)
中学生での進路選択は、本人の意思といえど、背景に保護者の思いもあります。
生徒の将来のためにはどの道を選択することがよいのかを、しっかり話合い、納得した上で選択することが大切だと感じます。
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